PART 2Chapter 4 · 財務三表を読めるようになる

キャッシュフロー計算書 — 本当のお金の流れ

このセクションでは、財務三表を読めるようになるの重要ポイントを実例とクイズで整理します。

読了目安
11
見出し
4
学習目標
3
このセクションで学べること
  • 1営業CF・投資CF・財務CFの3区分の意味を理解する
  • 2CFパターンから企業の経営状態を判断できる
  • 3フリーキャッシュフロー(FCF)の重要性を把握する

なぜ「利益」だけでは不十分なのか

PLの利益は発生主義(取引が発生した時点で計上)に基づくため、実際のお金の出入りとは一致しません。「黒字倒産」という言葉があるように、利益が出ていても現金が回らなければ企業は行き詰まります。キャッシュフロー計算書(CF計算書)は、この「実際のお金の動き」を捉えるための財務諸表です。

用語解説
キャッシュフロー計算書(CF計算書)
一会計期間における企業の現金(キャッシュ)の増減を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3区分で示す財務諸表。英語では Cash Flow Statement と呼ばれます。

3つのキャッシュフローの意味

区分内容プラスの意味マイナスの意味
営業CF本業から得たキャッシュ本業が順調にお金を生んでいる本業でお金が出ている(危険信号)
投資CF設備投資・有価証券の売買資産を売却してお金を得た将来のために投資している(通常はマイナスが健全)
財務CF借入・返済・配当の支払い借入や増資でお金を調達した借金を返済した or 配当を支払った
用語解説
フリーキャッシュフロー(FCF)
営業CFから投資CF(設備投資分)を差し引いた金額。企業が自由に使える現金を示し、配当・借入返済・新規投資の原資となります。
フリーキャッシュフロー
FCF = 営業CF + 投資CF(投資CFは通常マイナスのため実質的に引き算)

キャッシュフローの流れを視覚化する

以下のウォーターフォールチャートは、営業CF・投資CF・財務CFがどのように現金残高を変化させるかを示しています。各区分の影響を直感的に把握しましょう。

キャッシュフローのウォーターフォール — 期首残高から各CFを経て期末残高へ

CFパターンで企業の状態を判定する

営業CF・投資CF・財務CFのプラス/マイナスの組み合わせで、企業がどのようなステージにあるかを判断できます。以下の代表的なパターンを覚えましょう。

パターン営業CF投資CF財務CF企業の状態
健全成長型本業で稼ぎ、投資し、借金も返済
積極投資型本業で稼ぎ、借入もして大型投資
リストラ型資産を売却しつつ借金返済
危険型本業不振で資産売却と借入で延命
キャッシュフロー分析のポイント
  • 営業CFが安定してプラスであることが最重要
  • FCFがプラスの企業は株主還元や成長投資の余力がある
  • 投資CFのマイナスは将来への投資であり悪いことではない
  • 営業CFと純利益の乖離が大きい場合は利益の質に注意
具体例
D社は当期純利益50億円だが、営業CFが−10億円。なぜこのようなことが起こり得るのでしょうか?
利益は出ているのに営業CFがマイナスになる主な理由は「売掛金の増加」です。商品は売れたが代金の回収が遅れている場合、PLでは利益が計上されますが現金は入ってきません。このような企業は資金繰りリスクがあるため注意が必要です。
理解度チェック
ある成熟企業のCFパターンが「営業CF: +80億、投資CF: +30億、財務CF: −100億」でした。この企業の状態として最も適切なのは?
理解度チェック
営業CF: +200億円、投資CF: −150億円の場合、フリーキャッシュフロー(FCF)はいくらですか?
理解度チェック
「黒字倒産」が起きる仕組みとして最も正しい説明はどれですか?