PART 2Chapter 4 · 財務三表を読めるようになる

貸借対照表(BS)— 財務の安全性を見る

このセクションでは、財務三表を読めるようになるの重要ポイントを実例とクイズで整理します。

読了目安
12
見出し
4
学習目標
3
このセクションで学べること
  • 1BSの基本等式(資産=負債+純資産)を理解する
  • 2自己資本比率と流動比率で企業の安全性を評価できる
  • 3業種によるBS構造の違いを把握する

貸借対照表とは何か

貸借対照表(Balance Sheet、略称BS)は、「ある時点で企業が何を持ち、何を借りているか」を示す財務諸表です。PLが「期間の成績表」なら、BSは「ある日の写真」のようなものです。左側に資産(持っているもの)、右側に負債(借りているお金)と純資産(自分のお金)が並びます。

用語解説
貸借対照表(BS)
決算日時点における企業の資産・負債・純資産の状態を示す財務諸表。「資産 = 負債 + 純資産」という等式が常に成り立ちます。
BSの基本等式
資産(Assets)= 負債(Liabilities)+ 純資産(Equity)

BSの3つの区分

BSは大きく3つのブロックに分かれます。それぞれの中身を理解しましょう。

区分内容具体例
資産(左側)企業が保有する経済的価値のあるもの現金、売掛金、在庫、工場、特許権
負債(右上)将来返済しなければならない借金買掛金、借入金、社債、未払費用
純資産(右下)株主が出資した資本+過去の利益の蓄積資本金、利益剰余金、自己株式
用語解説
流動資産 / 固定資産
1年以内に現金化できる資産を「流動資産」(現金・売掛金・棚卸資産など)、1年を超えて保有する資産を「固定資産」(建物・機械・ソフトウェアなど)と分類します。

財務の安全性を測る指標

自己資本比率
自己資本比率 = 純資産 ÷ 総資産 × 100(%)
流動比率
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100(%)
BS分析の重要指標と目安
  • 自己資本比率:40%以上が安全の目安。低いと借金依存度が高い
  • 流動比率:200%以上が理想、120%以下は短期的な資金繰りリスク
  • 有利子負債比率(D/Eレシオ):1倍以下が望ましい
  • ネットキャッシュ:現預金 − 有利子負債がプラスなら実質無借金
用語解説
利益剰余金
企業が創業以来稼いできた利益のうち、配当として社外に流出せずに社内に蓄積された金額。「内部留保」とも呼ばれます。利益剰余金が厚い企業は過去の蓄積が豊富です。
具体例
C社は総資産1,000億円、負債800億円、純資産200億円。自己資本比率は何%で、安全性はどう評価できますか?
自己資本比率は200億÷1,000億×100=20%です。40%の目安を大きく下回っており、負債への依存度が高い状態です。ただし不動産業や金融業ではレバレッジ経営が一般的なため、業種平均との比較も重要です。

業種によるBSの違い

資産が軽い業種(IT・サービス)
  • 固定資産が少ない
  • 現金・売掛金の割合が高い
  • 自己資本比率が高い傾向
資産が重い業種(製造・不動産)
  • 工場・設備等の固定資産が大きい
  • 借入金で設備投資を行う
  • 自己資本比率が低い傾向

BSを読む際は、「この資産はちゃんと価値があるのか」「負債を返せる体力があるか」という視点が大切です。特に棚卸資産(在庫)が急増している場合は、売れ残りリスクに注意しましょう。

理解度チェック
自己資本比率が最も高い企業が一般的に最も安全とされますが、自己資本比率が高すぎることのデメリットはどれですか?
理解度チェック
流動資産800億円、流動負債500億円、固定資産1,200億円の企業の流動比率はいくらですか?
理解度チェック
BSで棚卸資産(在庫)が前期比で50%急増しているのに、売上は横ばいでした。考えられるリスクはどれですか?