PART 2Chapter 4 · 財務三表を読めるようになる

損益計算書(PL)— 稼ぐ力を見る

このセクションでは、財務三表を読めるようになるの重要ポイントを実例とクイズで整理します。

読了目安
12
見出し
5
学習目標
3
このセクションで学べること
  • 1PLの5つの利益段階(売上総利益〜当期純利益)を説明できる
  • 2営業利益率を使って企業の「稼ぐ力」を比較できる
  • 3業種別の利益構造の違いを理解する

損益計算書とは何か

損益計算書(Profit & Loss Statement、略称PL)は、企業が「一定期間にどれだけ稼いだか」を示す財務諸表です。家計簿でいえば「今月の収入と支出のまとめ」にあたります。PLを読めるようになると、その企業がどのように利益を生み出しているかが一目でわかるようになります。

用語解説
損益計算書(PL)
一会計期間(通常1年間)における企業の収益・費用・利益をまとめた財務諸表。英語では Income Statement や P&L とも呼ばれます。

PLの5つの利益段階

PLには「5つの利益」が段階的に並んでいます。売上高から費用を順番に引いていくことで、企業の収益構造が見えてきます。この「利益の階段」を理解することが、PL読解の第一歩です。

1
売上高(Revenue): 商品やサービスを販売して得た総額
2
売上総利益(粗利)= 売上高 − 売上原価: 商品そのものの製造・仕入コストを引いた利益
3
営業利益 = 売上総利益 − 販管費: 本業の実力を示す利益。人件費・広告費・家賃などを差し引いた後の金額
4
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用: 本業以外の金融収支(受取利息・支払利息など)を加味した利益
5
当期純利益 = 経常利益 ± 特別損益 − 法人税等: 最終的に株主に帰属する利益
営業利益率
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)
用語解説
販管費(販売費及び一般管理費)
商品を売るための費用(広告宣伝費・営業社員の人件費など)と、会社を運営するための費用(役員報酬・オフィス賃料・減価償却費など)の合計です。

PLを視覚的に確認してみましょう

以下のグラフは、架空の企業「テック産業株式会社」の3年分のPL主要項目を比較したものです。各項目がどのように推移しているかを観察してみましょう。

テック産業(株)の損益計算書推移 — 売上高が伸びても利益が伸びているか注目

PLで必ずチェックすべき指標

PL分析の3大チェックポイント
  • 営業利益率:本業の稼ぐ力。10%以上なら優良企業の目安
  • 売上高の成長率:前年比で増収かどうか。成長企業は売上の伸びが安定
  • 利益の質:特別利益(土地売却など一時的な利益)に頼っていないか確認
利益段階日本語何がわかるか
売上総利益粗利商品力・原価管理力
営業利益本業の利益本業の収益力
経常利益経常利益財務体質を含めた総合力
当期純利益最終利益株主への還元原資
具体例
A社は売上高1,000億円、営業利益150億円。B社は売上高500億円、営業利益100億円。どちらが「稼ぐ力」が強い?
A社の営業利益率は15%、B社は20%です。売上高ではA社が大きいですが、営業利益率ではB社が上回っています。つまりB社のほうが効率よく稼いでいるといえます。規模だけでなく「率」で比較することがPL分析の基本です。

業種別の営業利益率の目安

業種営業利益率の目安特徴
ソフトウェア・SaaS15〜30%原価が低く、スケールしやすい
製造業5〜10%設備投資・原材料費が重い
小売業2〜5%薄利多売が基本
不動産10〜20%物件次第で大きく変動
金融業20〜40%手数料ビジネスで高利益率
成長企業のPLパターン
  • 売上高が年々増加
  • 営業利益率が維持or改善
  • 研究開発費に積極投資
衰退企業のPLパターン
  • 売上高が横ばいor減少
  • 営業利益率が低下傾向
  • リストラ費用が特別損失に計上
理解度チェック
ある企業の売上高が前年比+20%なのに営業利益が前年比−5%でした。最も考えられる原因は?
理解度チェック
ある企業の売上高が500億円、売上原価が300億円、販管費が120億円の場合、営業利益率は何%ですか?
理解度チェック
当期純利益が大幅に増えたが、営業利益はほぼ横ばいの場合、最も考えられる理由はどれですか?