PART 3Chapter 8 · オシレーター系指標 — 過熱感を測る

RSI(相対力指数)

このセクションでは、オシレーター系指標 — 過熱感を測るの重要ポイントを実例とクイズで整理します。

読了目安
10
見出し
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学習目標
3
このセクションで学べること
  • 1RSIの計算原理(上昇幅と下落幅の比率)と70/30の閾値を理解する
  • 2RSIゾーンからの「脱出」シグナルを使ったダマシ軽減テクニックを身につける
  • 3ダイバージェンス(株価とRSIの逆行)からトレンド転換の前兆を読み取れる

「買われすぎ」「売られすぎ」を数値で測る

株価が急上昇しているとき、「そろそろ下がるのでは?」と感じることはありませんか?逆に、大幅に下落した銘柄を見て「さすがに売られすぎでは?」と思ったことがある方も多いでしょう。しかし、その「感覚」だけで売買判断をするのは危険です。オシレーター系指標は、こうした相場の「過熱感」を客観的な数値として可視化するためのツールです。その代表格が、今回学ぶRSI(Relative Strength Index:相対力指数)です。

RSIとは — 買われすぎ・売られすぎの定量化

用語解説
RSI(Relative Strength Index:相対力指数)
一定期間における株価の上昇幅と下落幅の比率から、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」の度合いを0〜100の数値で表すテクニカル指標です。1978年にJ・ウェルズ・ワイルダーが考案しました。

RSIの基本的な考え方はシンプルです。「ある期間の値動きのうち、上昇が占める割合はどのくらいか?」を測ります。上昇ばかりが続けばRSIは100に近づき、下落ばかりが続けば0に近づきます。一般的に、RSIが70以上なら「買われすぎ」、30以下なら「売られすぎ」と判断されます。

RSIはもっともポピュラーなオシレーター系指標のひとつで、多くの証券会社のチャートツールに標準搭載されています。トレンドフォロー系指標(移動平均線など)と異なり、「相場がどれだけ過熱しているか」という別の視点を提供してくれるのが大きな特徴です。

RSIの計算方法(Wilderの平滑化)

RSIの計算は、上昇幅と下落幅の「平均」を比較するというシンプルな発想に基づいています。一般的に14日間(14期間)が標準的な設定値として使われます。

RSIの基本計算式
RSI = 100 − 100 ÷ (1 + RS)
RS(Relative Strength)の計算
RS = 期間内の平均上昇幅 ÷ 期間内の平均下落幅

ここで重要なのが「平均」の計算方法です。最初の14日間は単純平均を使いますが、15日目以降はワイルダーの平滑化(指数平滑化の一種)を使います。これにより、直近のデータにより大きな重みを置きながらも、急激な値の変動を抑えることができます。

Wilderの平滑化(15日目以降)
平均上昇幅 = (前日の平均上昇幅 × 13 + 当日の上昇幅) ÷ 14
具体例
過去14日間で、上昇した日が10日(平均上昇幅: 50円)、下落した日が4日(平均下落幅: 20円)だった場合。
RS = 50 ÷ 20 = 2.5。RSI = 100 − 100 ÷ (1 + 2.5) = 100 − 28.57 = 71.43。RSIが70を超えているので、「やや買われすぎ」の水準と判断できます。上昇の勢いが強いものの、そろそろ調整が入る可能性を意識すべき局面です。

なお、RSIの期間設定を短くする(例: 9日)と感度が上がり頻繁にシグナルが出ますが、ダマシも増えます。長くする(例: 25日)と滑らかになりダマシは減りますが、シグナルが遅れます。初心者の方はまず標準の14日で使ってみることをおすすめします。

70/30の閾値と使い方

RSIの最も基本的な使い方は、70と30のラインを基準にした「買われすぎ・売られすぎ」の判断です。チャートで実際のRSIの動きを確認してみましょう。

買われすぎ(70)売られすぎ(30)
図8.1: RSIの推移と70/30ライン — 株価の過熱感を視覚的に把握できます
RSIの値状態一般的な判断
80以上強い買われすぎ利益確定や売りを検討する水準
70〜80買われすぎゾーン新規買いは慎重に。押し目待ちを検討
30〜70中立ゾーン特段の過熱感なし。他の指標と合わせて判断
20〜30売られすぎゾーン買いのチャンスを模索。反発を期待
20以下強い売られすぎ反発の可能性が高いが、下落トレンド中は注意

ただし、RSIの閾値は絶対的なものではありません。強いトレンドが発生している局面では、RSIが70以上で推移し続ける(買われすぎのまま上昇が続く)こともあります。逆に、下落トレンドでは30以下に長く留まることもあります。RSI単体での逆張り売買は危険で、必ず他の指標やチャートパターンと組み合わせて判断してください。

実践的な使い方として、RSIが70を上から下に抜けたタイミング(買われすぎゾーンからの脱出)を売りシグナル、30を下から上に抜けたタイミング(売られすぎゾーンからの脱出)を買いシグナルとする方法があります。「ゾーンに入った瞬間」ではなく「ゾーンから出た瞬間」をシグナルとすることで、ダマシを減らすことができます。

RSIのダイバージェンスとトレンド転換

用語解説
ダイバージェンス(Divergence:逆行現象)
株価の動きとRSI(などのオシレーター指標)の動きが逆方向になる現象です。トレンド転換の前兆として注目されるシグナルのひとつです。

ダイバージェンスには2つのパターンがあります。ひとつは「弱気のダイバージェンス(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」で、株価が高値を更新しているのにRSIが前回の高値を下回る場合です。上昇の勢いが弱まっていることを示唆し、天井が近い可能性があります。

もうひとつは「強気のダイバージェンス(ブリッシュ・ダイバージェンス)」で、株価が安値を更新しているのにRSIが前回の安値を上回る場合です。下落の勢いが弱まっていることを示唆し、底打ちが近い可能性があります。

具体例
ある銘柄の株価が1,000円→900円→950円→850円と推移しました。一方、RSIは25→35→30→38と推移しました。
株価は900円→850円と安値を更新していますが、RSIは25→38と安値を切り上げています。これが「強気のダイバージェンス」です。下落の勢いが衰えており、反転上昇の可能性を示唆しています。ただし、ダイバージェンスが出ても即座に転換するとは限らず、実際の反転を確認してからエントリーするのが安全です。
RSIのポイントまとめ
  • RSIは0〜100で相場の過熱感を数値化する — 70以上が買われすぎ、30以下が売られすぎ
  • 標準設定は14日間。短くすると感度が上がるがダマシも増える
  • RSIゾーンからの「脱出」をシグナルとすることでダマシを軽減できる
  • ダイバージェンス(株価とRSIの逆行)はトレンド転換の重要な前兆
  • 強いトレンド中はRSIが偏った水準に留まるため、RSI単体の逆張りは危険
理解度チェック
RSIの「強気のダイバージェンス」とはどのような現象ですか?
理解度チェック
強い上昇トレンドの中でRSIが75を示しています。RSIだけを根拠に「買われすぎだから売る」と判断することについて、最も適切な評価はどれですか?
理解度チェック
RSIの期間設定を14日から9日に短くした場合、どのような変化が起きますか?