このセクションでは、オシレーター系指標 — 過熱感を測るの重要ポイントを実例とクイズで整理します。
前のセクションでRSIという「過熱感を測る指標」を学びました。ここからは、もうひとつの超定番オシレーター系指標であるMACD(マックディー)を学びます。MACDはトレンドの方向性と勢いの両方を一度に把握できる優れた指標で、RSIと並んで世界中のトレーダーに愛用されています。移動平均線をすでに学んだ方なら、その延長線上にある指標として直感的に理解できるはずです。
移動平均線の章で「ゴールデンクロス・デッドクロス」を学んだ方も多いでしょう。MACDの基本発想は、2本の移動平均線の「距離(差)」そのものをグラフにしてしまおう、というものです。2本のEMAが離れればMACDの値は大きくなり、近づけばゼロに向かいます。つまり、MACDはトレンドの「勢い」をダイレクトに示してくれるのです。
MACDチャートには3つの構成要素があります。それぞれの役割を理解することが、MACD活用の第一歩です。
| 要素 | 標準パラメータ | 役割 |
|---|---|---|
| MACDライン | 12日EMA − 26日EMA | 短期と長期の移動平均の乖離を示す。プラスなら上昇トレンド、マイナスなら下落トレンド |
| シグナルライン | MACDラインの9日EMA | MACDラインを平滑化したもの。MACDラインとの交差が売買シグナルになる |
| ヒストグラム | MACDライン − シグナルライン | 2本のラインの差を棒グラフで表示。トレンドの勢いの変化を視覚的に把握できる |
12日・26日・9日という標準パラメータは、アペルが当初提唱した値で、現在でも世界中で広く使われています。ただし、短期トレードでは6日・19日・9日、長期投資では19日・39日・9日など、投資スタイルに応じて調整する場合もあります。
MACDの最も基本的な売買シグナルは、MACDラインとシグナルラインの交差(クロス)です。実際のチャートで確認してみましょう。
さらに精度を高めるために、ゼロラインとの位置関係も重要です。ゼロラインより上でゴールデンクロスが発生すれば、上昇トレンドの勢いが加速するシグナルと解釈できます。一方、ゼロラインより下でゴールデンクロスが発生した場合は、下落トレンドからの反転を示唆しますが、まだトレンド転換が確定したわけではありません。
MACDは非常に優れた指標ですが、万能ではありません。MACDの主な弱点を理解して、他の指標で補完する方法を知っておきましょう。
| 弱点 | 詳細 | 補完方法 |
|---|---|---|
| レンジ相場に弱い | 横ばい相場ではクロスが頻発し、ダマシが多くなる | RSIやボリンジャーバンドと組み合わせてレンジ相場を識別する |
| シグナルが遅れる | EMAベースのため、急激な値動きへの反応が遅い | 短期足のRSIやローソク足パターンで初動を捉え、MACDで確認する |
| 買われすぎ・売られすぎを示さない | RSIのような固定の閾値がないため、過熱感の判断には不向き | RSIやストキャスティクスで過熱感を別途確認する |
実践では「MACDでトレンドの方向を確認し、RSIで過熱感をチェックする」という組み合わせが定番です。例えば、MACDがゴールデンクロスした銘柄のうち、RSIがまだ50〜60程度(過熱していない)のものを選ぶ、といった使い方をします。MACDもRSIと同様にダイバージェンスが発生することがあり、トレンド転換のシグナルとして有効です。